Arya 2 2010年 165分
主演 アッル・アルジュン & カージャル・アガルワール & ナヴディープ
監督/脚本/原案 スクマール
"これはアジェイの恋、アジェイは友達…アジェイは俺の友達なんだ"
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僕の名前はアジェイ。AJクエスト・テクノロジーの社長だ。
今、緊急病棟に搬送されていったアーリヤは、僕の長年の「敵」。貴方が彼のような「親友」を持てば、他に「敵」を必要としなくなるくらいには…
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アジェイとアーリヤの出会いは少年時代の孤児院。
そこで強制的にアジェイを親友認定したアーリヤはなにかと彼につきまとう。富豪の養子に選ばれて孤児院を旅立ったアジェイだったが、成長してもアーリヤとの縁は切れず、彼を助けようと何度もお節介を焼いてくる破天荒なこそ泥に成長したアーリヤにつけ込まれて、アジェイはついに自社の社員として彼を雇わざるを得なくなってしまう…社内では「完璧な会社人」であり続ける、という条件のもとに。もし、それが破られれば即退社し、自分との縁を切るようにと約束させながら…。
そんなある日、アジェイは自撮り好きな新入社員ギータに一目惚れするが、同時にアーリヤもまた彼女に一目惚れしたと言われてしまい…!!
挿入歌 My Love Is Gone (僕の恋は終わった)
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*ダンスにおける振付とは…!!(特に1分37分以降から)
2004年の大ヒット・テルグ語(*1)映画「Arya(アーリヤ)」の続編。
ただし、アッル・アルジュンが演じる主人公アーリヤという名前、その主人公とアジェイとギータの三角関係を描く青春ラブコメ映画という要素が共通するのみで、物語的つながりはない(*2)。
「Arya」で映画監督デビューしたスクマールの、3本目の監督作。同時公開で、同名マラヤーラム語(*3)吹替版も公開。インドの他、カナダ、米国でも公開されている。
2014年には、インド+バングラデシュ合作のベンガル語(*4)リメイク作「Ami Shudhu Cheyechi Tomay」が、それとは別にバングラデシュリメイク作「Ajob Prem」も公開。
さらに、オリヤー語(*5)吹替版「I Love You Geeta」、ヒンディー語(*6)吹替版「Arya: Ek Deewana」も公開された。
前作が大学を舞台にした三角関係青春ロマンスだったのに対し、本作は社会人の三角関係ロマンスとなっていて、前半はIT企業で、後半は田舎の結婚式騒動を舞台にした2部構成。前作を踏襲する男2人&女1人の三角関係も、前半にはさらに鞘当て的女性キャラが足され、後半には婚約者の男性キャラがいい味出してきたりと、三角関係が四角関係(…というか3.5角?)くらいなってるのは「やっぱ続編は前作を越えるようにしないとね!」ってボリューム感を出すためでしょか。
主人公演じるアッル・アルジュンは、前作とは比べもんにならないくらいの貫禄で、その演技・ダンスパフォーマンス・アクション・啖呵を切る様はハイパワーすぎて「あんた、どんなトレーニングすればそんな体の動きができんだよ!?」ってくらい、アッル・アルジュン推しの強いアッル・アルジュンのためのスター映画。
前半だけだと、コントのようなドタバタコメディが次々展開するだけで話の骨子が見えづらい感じもしなくもないけれど、やたらと友情と愛情に飢えてるような主人公が、語り手であるアジェイに絡まりまくって、その恋人候補であるギータとも丁々発止していく問答無用の破天荒さが、楽しくもあり儚くもあり。
後半は、前作要素の踏襲でもある自己犠牲によるアーリヤの愛と友情の有り様が、より友情側に比重を置いて語られるロマンス&バディもの。トリックスター的なアーリヤが物語の推進役になると同時に、コメディリリーフ役でもあり、孤独な愛に飢えた青年主人公にもなっていく。こういうお話のお約束のような血みどろアクションもなりを潜め(ない事はないけど)、それぞれに人の善意に訴えかける会話劇がテンポよく進み、アッル・アルジュンのとぼけた表情芝居もあって、底の見えない主人公アーリヤの八面六臂で変幻自在なキャラ像がその都度その都度楽しくてしょうがない。
主人公演じるアッル・アルジュンやヒロイン演じるカージャル・アガルワールとともに、3人目の主要登場人物かつ物語の語り手となるアジェイを演じるのは、テルグ語・タミル語(*7)映画界で活躍するナヴディープ(・パラポール)。
04年のテルグ語映画「Jai(ジェイ)」で映画&主演デビュー。このタミル語版となる「Jairam(ジェイラム)」で同時にタミル語映画にもデビューすることになる。以降、07年の主演作「Chandamama(月)」と10年公開の本作、悪役出演した13年の「バードシャー(Baadshah)」などで評判を呼ぶ。映画の他、Webシリーズ「Gangstars」で主演したり、TV番組司会で活躍していたりする。
毒はありつつ、基本的には家族みんなで見ても安心な良心的設計青春映画なのは、このシリーズの売りだからなのか、スクマール監督作の味なのか。さっそく、他のスクマール監督作もチェックしたくなる変幻自在な主人公と映画のサービス精神の濃さは、前作のそれとはホンマ別レベルですゼ!
挿入歌 Mr. Perfect (ミスター・パーフェクト)
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受賞歴
2010 Filmfare Awards South テルグ語映画女性プレイバックシンガー賞(プリヤー・ヒメーシュ / Ringa Ringa)・南インド映画ダンス振付賞(プレーム・ラクシット / Mr. Perfect)
「Arya 2」を一言で斬る!
・恋の邪魔者を始末するために、覆面男ならぬ覆面カーが『激突!』ばりに活躍するなんて発想、どっから出てくるんじゃー!w
2020.2.14.
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